BAMBOOHOUSE MAMAFACTORYでは、インドの職人さん達の間に受け継がれてきた手仕事の技巧や美しい伝統デザインを、
よりカジュアルでモダンなファッションに取り入れる取り組みを続けてきました。
通気性の良い上質なインド綿に美しい手刺繍を施したラクノウ(ラクナウ)1
刺繍白ブラウスは、BAMBOOHOUSEの人気定番アイテムです。
歴史
ラクノウ刺繍はインドのウッタル・プラデーシュ州にあるラクノウ地方で発展した伝統的な刺繍技法です。
白糸を使用して細かい模様を布地に刺繍するラクノウ刺繍の技術は現代においてもその芸術的な美しさからインドのみならず世界中で愛されていますが、その起源は謎に包まれています。
インドラクノウのチカンカリ=ラクノウ刺繍に関連した記述は、紀元前3世紀にまで遡ります。
紀元前にインド見聞記を記したギリシャ人2によって、インド人は花柄のモスリン(木綿や羊毛などの梳毛糸を平織りにした薄地の織物の総称)を着ていたとの記述がありました。
また、ラクノウ地方の藩主は代々イスラム系であり、薄地の木綿モスリン地に白糸でデリケートな文様を縫いとった服を好んでいたそうです。3
上記の通り発祥については、紀元前3世紀に遡るとも、18世紀のムガル帝国時代に起源を持つとも言われており、確実な起源については、未だにわかっていないようです。4
ラクノウ刺繍の優雅なデザインと繊細なステッチは、古来からクルタやサリーなどの伝統的なインド服に用いられてきました。
そして現代においては、クッションカバー、テーブルカバー、枕カバーなどのインテリアの装飾にもラクノウ刺繍が使われるようになりました。
ラクノウ刺繍は、その歴史とともに進化し、現代でも多くの人々に愛されています。
伝統的な手法による手作業
衣類への刺繍は通常縫い付けが終わってから行われることがほとんどですが、ラクノウ刺繍の場合、最初に刺繍を施したパネルを作成して、衣類など様々な形へと仕上げられていきます。
経験豊富な職人さんたちにより細かく分業された工程を経て、立体的なステッチと緻密なデザインが施されていきます。
そのプロセスは裁断、縫製、印刷、刺繍、洗浄、仕上げの順番で行われていきます。
裁断と縫製は同じ人が行います。
次に、染料に浸した木の版(ブロックプリント)でモチーフの印刷を行います。
刺繍の工程は通常女性の職人によって行われます。
刺繍の最後の工程は洗浄と仕上げで、漂白、酸処理、硬化、アイロンがけなど、10 ~ 12 日かかります。5
有機的なモチーフがもたらす美しさ
ラクノウ刺繍で最もよく使われるモチーフは、つる植物で、その他にはジャスミン、バラ、蓮、花茎などがよく用いられます。6
さて、ラクノウ刺繍のモチーフを観察してみると、一つ一つの表情が微妙に違うことが分かります。これは、手仕事ならではの特徴といえます。
例えば手作業でひと針ずつステッチをしていくと、ステッチの間隔やモチーフの大きさなどが、少しずつ違ってきます。そして、段々とその一枚だけが持つユニークな表情が生まれてきます。
ラクノウ刺繍の持つ美しさは、その細部に宿る職人の手仕事と情熱によって生み出される、唯一無二のアート作品とも言えるでしょう。
カジュアルエスニックファッションとの融合
BAMBOOHOUSEでは、インドの職人さん達が紡ぎ出す
ラクノウ刺繍の技巧と美しい伝統デザインを、よりカジュアルでモダンなファッションに取り入れられるように、デザインを続けてきました。
ラクノウ地方の女性職人さんたちによる手仕事の技巧と情熱が詰まった白ブラウスを、今後も皆様にお届けしていきます。
- カタカナに表記をする際、ラクノウ、ラクナウと表記の揺れがあるようです。
また、チカンカリ(Chikankari=刺繍を意味するヒンドゥー語)とも呼ばれています。
BAMBOOHOUSE MAMAFACTORYでは、「ラクノウ」の表記を使用しています。 ↩︎ - Megasthenes “Indika” ↩︎
- 岩立フォークテキスタイルミュージアム 「白の世界 -インド、アフリカ、アフガニスタン、日本の衣装」 ↩︎
- Manfredi, Paola (2004). “Chikankari of Lucknow” ↩︎
- Cultural India : Indian Crafts : Chikankari ↩︎
- Chikankari: A lucknawi Tradition Vinayak mannuvinayak2@gmail.com ↩︎